本当にたまたまNHKで観たアニメ「ルックバック」が良くて、是枝裕和監督・脚本で映画化されるニュースを知ってから、ずっと楽しみに待っていました。
藤本タツキ先生の漫画の実写映画化です。
マンガの得意なふたりの少女が出会い、コンビを組んでプロデビューを目指し、ひたむきに時を過ごします。出会いとその後の別れを、季節の移り変わりとともに描かれています。
秋田県にほか市の山並みを背景に、桜の花びらが散る季節から始まり、夏になってスイカを食べたりかき氷を食べたり、虫の音が聞こえて秋になり、白鳥たちが飛来して本格的な冬が訪れ、また桜が咲きます。
学年新聞で4コママンガを連載していた藤野は自分のマンガに自信を持っていましたが、不登校の京本の絵の上手さにショックを受けます。それから一生懸命絵の練習に励みますが、差は縮まらず、同級生の「中学に行ったらオタクと呼ばれて嫌われるよ」の言葉もあり、マンガを諦めようとします。
卒業式が終わった後、藤野は先生に頼まれ、不登校の京本の家まで卒業証書を届けに行きます。玄関で呼んでも出てきません。廊下にはスケッチブックが山積みになっています。
帰り道の田んぼのあぜ道でふたりは初めて出会います。「ずっとファンだった」という京本の言葉で再びやる気を取り戻し、コンビを組んでマンガを描き始めるきっかけとなります。
このシーンが素敵です。雨が降ってきて、おでこに髪がへばりつくのも気にしないで、ピンク色のほっぺたをして、田んぼのあぜ道を踊るように駆け出します。音楽も素敵です。
小学生時代の藤野役の七瀬ふうりちゃんの小生意気さと、京本役の岡田六花ちゃんのもさもさの髪型と少し猫背が原作と合っていて、文句なしです。
ふたりを見守る大人たちも安心感があって良かったです。歩のお母さん役は、このところ映画ドラマに出ずっぱりの野呂佳代さん。お姉ちゃんのひと言余計な事言いがちのところもいいです。藤野姉妹がのびのび育っているのも、このお母さんだからという気がします。私から助演女優賞を差し上げたいくらいです。
担任役の宮藤官九郎さんもいい味わいで、生徒思いの先生でした。クラスが違うのに学年新聞や卒業証書を不登校の京本の家まで届けさせるのも、先生の直感かもしれません。
出版社の編集役、管田将暉さんも若いふたりを導く役柄で好印象でした。
いつのまにか藤野役の出口夏希さんと、京本役の蒔田彩珠さんに変わっていました。切り替わりがあまりに自然で全く気付きませんでした。
マンガに没入し、ふたりとも描かずにはいられない、これが才能というものですね。
やがて高校卒業後の進路を決める季節が来て、いつも藤野にくっついていた京本は初めて「美術大学に行きたい」と言います。それまで一心同体で漫画を書いていたのに、藤野は受けいることが出来ず、つい嫌な言葉を投げかけてしまいます。藤野の気持ち、よく分かります。濃密な時間を過ごし、自分だけの京本だと思っていたのだと思います。
やがて悲劇が訪れます。
急に音が少なくなり、色味も暗くなり、起こった出来事を文字で伝えます。藤野が小4でマンガを止めてしまったというパラレルワールドも登場します。
悲劇を乗り越えて、乗り越えてないかもしれませんが、それでも漫画を描き続ける藤野の背中がいとおしく思える、いい映画でした。
その後本屋に立ち寄ったら単行本があったので、買ってしまいました。

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#ルックバック #藤本タツキ #是枝裕和
