ポスターをみた時から「面白そうだ」と感じていましたが、案の定面白かったです。
傲慢で強欲で大富豪で、髪が薄くお腹がたっぷりした年寄りを演じています。特殊メイクは世界的な日本人メイクアップアーチスト、カズ・ヒロによるもので、さすがアカデミー賞受賞者です。
ディガー・ロックウェルは石油採掘会社の経営者です。地球温暖化なんて全く気にしていません。しかも大統領に意見できるような権力も持っています。身振り手振りが大きいです。
大きなシャンデリアと大きな窓のある広くて古めかしい部屋の広いベッドで目を覚まします。大きな窓から見える景色はなんだか「書き割り」のように見えます。
ディガーが唯一愛する猫のマギーは人間の年令で200才を超え、生きているように見えません。遺伝子操作で死なずにいるとのことですが、ふさふさしたロボットかもしれません。
なんだかとっても不自然なのです。
大規模採掘が原因で北極の氷が割れ、切り離された氷山は海の上を移動して、猛スピードでヨーロッパに向かってしまいます。向かった先に津波が発生して大きな災害が予見されることになります。
しかも昔ソ連が埋めた核廃棄物まで漏れ出す可能性有りというおまけ付きです。
大統領と副大統領、科学者、偉い人達の会議は全員で責任を押し付け合い、結論が出ません。科学者ガネシュはこれから起きるであろう危機を述べますが、信じたくないことは誰も信じようとはせず、牧師が出てきて神頼みで終わります。このシーンが面白くて笑えます。
結論が出ないまま、ヨーロッパで会議が開かれ、証人尋問が行われます。
劇場みたいな室内で、出席者は男女ともグレーの服を着て、なんだか背景みたいです。アメリカ大統領は急にお尻にガンが見つかり入院して説明責任を副大統領に押しつけ、科学者ガネシュは真実をぶちまけます。そしてウエスタンハットをのせたディガーの登場です。
延々と「俺が悪いのか?」と開き直るのです。10分の長セリフです。
机の上に立ち上がり、机から机に歩きまわり、ディガーの独壇場となります。そのうち乱闘が始まり、男性も女性も取っ組み合いです。もうカオスです。
「俺が悪いのか?」
そうかもしれない。
世の中が便利になるのを望んだのは人間だもの。
劇中劇が登場し、トム・クルーズは少し先の未来での舞台俳優を演じています。とても繊細です。
と思ったけど、どちらが劇中劇で、どちらが本編が分からなくなるような仕組みになっています。その切り替えが独創的です。
そして、この問題が解決しないまま、新たな氷山が流れ出します。その行き先はアメリカです。
中国とロシアに核攻撃しようとするくだりも可笑しかったです。大統領のそばに控えている核ボタンの入った黒いバックには本が3冊入っていて、ボタンを押す前には3冊読まなくてはいけない決まりとか、都市伝説で本当は核ボタンなど無いとか、時間かせぎにファイアウォールで情報を操作しようとか、氷山を砕くためミサイル搭載の航空機が飛ぶシーンでは、ミサイルに「SUCK IT NATURE!」、字幕で「クソ食らえ 自然!」と、笑えるシーンが続々登場します。
制作者は面白エピソードを次々考えて、楽しかったんじゃないかと思います。
結末に驚きます。こんな風に終わるんだという結末です。
舞台の題名は「化石の愚者」25周年公演です。この演劇のプロデューサー、ケニーの佇まいが意味ありげで不思議な存在感です。
時折流れる自然の音、虫の音、鳥のさえずり、カエル(多分大きいカエル)の歌、何かの動物の鳴声が不穏感を表現しています。
もしかしたら本当に未来はこうなるかもしれません。でもちゃんと人間は生きている。
AIの発達で人間は亡びるとネットニュースで読んだせいか、それなりに工夫して生きていると思ったら、なんだか安心しました。
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#ディガー #トム・クルーズ
