映画『時には懺悔を』全国民、観るべし!障がいを持つ子どもと生きる親の大変さ。「だいじょうぶだぁ~!」と志村けんの声で励ましてほしい。

映画

「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」「告白」、SMAP出演のドラマ、CM、どれもこれも面白かった中島哲也監督の新作です。
カラフルでドラマチックなイメージがあったのですが、この作品では色味が抑えられて、障がいや介護や親子関係を描いています。

「死んだ方がマシな人間」と噂される米本佐藤二朗は、お金に汚く、悪質な探偵として界隈では知られており、他殺体で発見されます。

元同僚の佐竹(西島秀俊)は助手の聡子(満島ひかり)と、警察とは別に独自に調査を始めます。

米本が殺される前に調査していたのは、9年前に「赤ちゃん誘拐事件」で行方不明になった障がい児の新と、父親らしき人物の明野(宮藤官九郎)についてでした。
調査を依頼していたのは、赤ちゃんを誘拐された後離婚し、今は裕福な男性と再婚している母親民恵(黒木華)です。
たまたまテレビニュースで映り込んでいた新を発見し、そこから米本に調査を依頼したことが分かります。

明野はボロボロで雨漏りする市営住宅に住み、定職は無く、ほぼ一日家で新のお世話をして、月2回の通院と、近所に買い物に行くくらいで周囲との交流はありません。
訪ねてくるのは、家庭訪問して勉強を教えてくれる養護学校の先生くらいなものです。

調査を進めて分かってきたことは、9年前に明野は妻昌美の赤ちゃんがほしい」という言葉で短絡的に、病院で母親が目を離した一瞬に赤ちゃんを盗んでいたこと。
数年後に妻は交通事故で亡くなってしまうのですが、それでも妻が残した育児日記に文章を継ぎ足しながら、愛情深く慈しんで新を育てていること。

小さいうちは2時間おきに座位を変えるという、いったい親はいつ寝るんだ!という状況や、柔らかく煮たご飯をスプーンで食べさせ、痰を吸引し、オムツ交換し、お風呂には抱っこして入れ、それだけの毎日という状況を、明野は新に話しかけながら、私たち健常者に教えてくれます。

言葉を話せなくても、気分がいい時は笑い、その笑顔に思わず泣けてしまいます。病院に行けばいつもの障がい児たちと会い、目配せで会話しているようです。

宮藤官九郎さんの演技が、ひょうひょうと肩の力が抜けてて、とてもいいです。他の俳優が少々力が入りすぎてるような気もします。

明野以外の登場人物もみな問題を抱えています。

佐竹にも障がい児の息子がいましたが、育児は妻にまかせっきりで、息子に目を背け、息子の死後はお酒に逃げ、妻(柴咲コウ)は精神を病み入院。小さい頃からずっと我慢していた”きょうだい児”の娘はグレて金髪のギャルに。

佐竹、カッコ悪いです。家族は壊れたままで、いまもお酒を止められず、しょっちゅう飲んでいるのはアル中かもしれません。佐竹さん、娘の手を握ってください。娘はギリギリの線上を歩いています。

聡子はDVの元夫を刺して実刑をくらい、娘の親権を奪われてしまい、さらに小学生の娘にも嫌われてしまいました。
聡子も情緒が安定しません。生活のため夜勤をしており、睡眠不足のせいか、直情的で前のめりになっています。
とりあえず睡眠不足は精神のバランスを崩します。

新の本当の母親民恵黒木華)を見つけますが、今は再婚して裕福な暮らしをしています。義理の娘二人との関係はあまり良くなく、なんだかお手伝いさん扱いされていて気の毒です。

明野は9年前の赤ちゃん誘拐事件の犯人として自首を決意します。

聡子民恵と接触し、新を引き取って育てるべきだと迫ります。

聡子と民恵が対峙するシーンでは、黒木華さんの演技に凄みを感じました。言葉は少ないけど目に迫力があり、色々重いものを背負ってる感じがよく分かります。

米本を殺したのは意外な人物でしたが、もう犯人捜しはもうどうでもよくなっています。
家庭に帰れば妻を愛し、息子を愛する、良い家庭人だったようで、柄にもなく民恵の力になりたいと真剣に考え、障がい者施設のパンフレットを集めて渡そうとしたことが後から分かります。
悪人だけど、いい人の一面もあったのですね。

明野と民恵のその後も知ることが出来ました。

あぁ、子どもが出来ず育児の大変さを経験してない私にとっては、全ての親に懺悔したい気持ちになりました。

明野が新のお世話をしている場面、テレビでは「加トちゃんケンちゃん」が放送されています。「だいじょうぶだぁ~」という志村さんの声に一瞬なんだか癒やされました。

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#時には懺悔を #中島哲也監督 #西島秀俊 #満島ひかり