映画『白パンと独裁者』ヒトラーの死からドイツ敗戦までの1週間、12才の少年が疎開先で経験したこと。母のために奮闘する少年がいとおしいです。

映画

この映画は、ドイツの有名監督の体験を、愛弟子のファティ・アキン監督が映画化した作品とのことです。

第二次世界大戦末期のドイツ。12才の少年ナニングは母と弟と叔母とで、都会から北部の島に疎開しています。父親は戦争に行き、今は捕虜となっているらしいです。

自然豊かなこの島では戦争の気配はなく、人々は静かに暮らしています。

母親が身重なためナニングが農家の手伝いなどをして、わすかな食べ物を得ています。

島へ難民たちが流れ着き、人々はナチスと戦争の終わりを予感していますが、母親はヒトラーの勝利を信じて疑いません。

午後、ヒトラーの死をラジオが伝え、母親はショックのあまり破水してしまいます。

赤ちゃんを出産しますが、ヒトラーの死を受け止められず、死んだようにベッドで寝ています。食事を口にすることも出来ません。
ただ、「たっぷりのバターとハチミツを塗った白パンが食べたい」と言います。

「たっぷりのバターとハチミツを塗った白パン」というものを食べたことがないけど、聞いた瞬間、それは美味しそう!私も食べてみたい!と思いました。

ナニングは母親のために駆け出します。

物資の無い時代のこの島で、それを手に入れるのは並大抵のことではありません。パン屋に行っても白パンはありませんから、まず卵と小麦粉とバターを手に入れなくて白パンを焼くところから始めなくてはなりません。

はたして「白パン」「バター」「ハチミツ」を用意できるのか?



ナニングは野生の鳥の卵を盗んで失敗したり、海で溺れそうになったり、アザラシのおとりになったり、もう散々な目に遭います。
やっと手に入れた食材を難民の子どもに奪われたりもします。

ようやく全てを手に入れたナニングは、誇らしげな顔をしてパンを切ります。
はたして母親は食べてくれるのでしょうか?



思わぬ邪魔が入ります。さて、どうなったのでしょうか?

ここ、映画館で笑いが起きていました。水森かおりの紅白のドミノをスタッフが倒してしまうような、三山ひろしのけん玉をラスト手前で失敗してしまうみたいな、そんな感じです。
その後の展開が切ないです。怒ったナニングに母親は「お兄ちゃんでしょ!」のひと言。私も弟がいたので、この理不尽さがよーくわかります。



そして終戦を向かえ、一家はこの島を離れることになります。

母親は自分たちが絶対に正しいと思っていたけど、そうでもなかったという事実に打ち砕かれます。

ナチスに抵抗する映画はいくつも観たけど、逆の立場は観たことはありません。
ヒトラー支持者たちはこうして絶望して、ナチス信奉者の中には拳銃自殺してしまう大人もいたのですね。それも地方の片田舎で。ひっそりと。

ナニングは様々な大人と出会い、島の少年や難民の子どもと友情を育みます。
もうこの島の誰とも生涯会わないと思いますが、この想い出は一生忘れることはないでしょう。

たくさんの出会いの中で、ナニングはそれぞれの生き方を学んだ気がします。
最後はほっこりとした気持ちになる、いい映画でした。

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#白パンと独裁者 #ファティ・アキン監督 #白パン