映画『急に具合が悪くなる』マリー=ルーと真理、こんなに仲良しになれるなんて、最大限にうらやましい。日本人とフランス人。哲学と文化人類学。ほぼ会話劇です。

映画

大人になればなるほど友人を作るのが難しくなる気がします。若い時の友だちはいつの間にか消え去って、今はわずかな人と年賀状のやりとりだけです。
偶然パリで出会ったフランス人と日本人のふたりが、意気投合し交流を深めていく様子に心底うらやましさを感じました。

マリー=ルーはパリ郊外にある高齢者施設のディレクターです。
人間らしくケアをしたいと理想を持ち「ユマニチュード」というケア技法を取り入れたいと考えています。その技法は、声をかけながら触るというもので、人手不足なのに時間がかかる研修を受けなくてはならないことを看護師やスタッフはよく思っていません。

迷子になった自閉症の智樹を救ったことで、演出家の真理と知り合います。

清宮吾朗のひとり芝居がパリで上演されます。智樹は吾朗の孫でした。

清宮吾朗を演じる長塚京三さんはパリに留学経験があり、フランスで俳優デビューしているのを知っていました。昭和20年生まれとのことですが、スッとしていて素敵です。

拍手喝采で終わった上演後にはQ&Aが行われ、幾人もの手が上がります。
マリー=ルーの「不可能なことは可能か?」の質問に対して、演出家の真理は「不可能なものは不可能です。でも可能になるまでは。」という答え。気に入りました。

日本語とフランス語が出来るふたりは急速に仲良くなり、出会ったその日から会話がはずみ、離れがたさを感じるようになります。真理は進行ガンを患っていて「急に具合が悪くなる」ことも伝えます。

生きる気力を失わない真理にマリー=ルーは感化されていきます。

でも映画の終盤、施設で演劇のワークショップが開かれ、お年寄りたちがお互いの身体に触れあうという不思議な光景を見ます。それにスタッフも加わります。お団子のようです。

ちょっと、夢のような現実のような。。。。

パリ郊外にあるという介護施設は広々とし、お庭も芝生や木々が生い茂っていて素敵です。室内で過ごすのでは無く外に出て、こんな場所でベンチに座りぼんやりしたいです。

以前観た高齢者施設が舞台の映画でも建物やお庭が延々と広く、フランスの老人ホームはこんなに広いのかと信じられない気持ちでした。

介護は初老の私にとって身近な問題です。忙しいわりに低賃金で人手不足という問題があり、将来必要になった時私は介護してもらえるのか不安になる時があります。
「九条の大罪」のような悪徳介護施設には絶対入居したくありません。

唐突に始まる、真理がホワイトボードを使って資本主義経済を説明するシーンは、しんどいな-と、中心の円のかなり外側にいる私は思いました。

声をかけながら触るユマニチュード技法や、マリー=ルーと真理がお互いの身体をマッサージし合ったことから、もしかしたら「声をかけて触る」ということがこの映画のテーマかもしれません。

足裏マッサージは気持ちいいので、いたわりの気持ちで誰かと出来たら、いいよねと思います。

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#急に具合が悪くなる #濱口竜介 #カンヌ国際映画祭最優秀女優賞