シリーズものとは知らずにこの本を買ってしまい、シリーズ最初から読んだほうがいいかなと迷っているうちに、2026年4月になってしまいました。
今年の目標は本をたくさん読むこと。お正月にたてた誓いは自分のSNS中毒でもうすでに崩れ始めていますが、頑張ります。
60才の母ミロと、レイプされて生まれた20才の息子ハルオの親子の物語です。
ミロとハルオの視点で交互に書かれています。
第2章でミロ視点のパートが始まり、過去を思い出す形で語られるので、ここで過去のいきさつを知ることになります。怯懦(きょうだ)、欺瞞、強欲、背信、憎悪と、良くないイメージの言葉のオンパレードです。
山岸という男に騙されてレイプされ、挙げ句、ミロに殺されてしまいます。ミロを銃撃から庇った韓国人のジンホは半身不随になり、さらには大阪で襲撃された際に二人の男を殺し、今は服役中です。
ハルオはレイプされて生まれてきた子だと知りません。こんな事自分の子に言える訳がありません。
なぜ、山岸の子どもを産み育てているのかを自分自身に問い、ミロはハルオを育て上げ、ハルオに裁かれることと。それが私の生きていることの意味だし、答えなのだと言います。
前作「ダーク」は読んでないけど、相当破壊的な出来事があったに違いありません。
ミロは山岸一族からの仕返しを恐れて、見つからないように生きてきました。
でも、ミロが隠してきた複雑な事情をハルオは知りたがっています。
でも、意外な接点からハルオは自分の親族と、ミロの前職と、ミロが山岸一族から逃げている理由を知ることになります。
邪悪だと知りながら、ハルオは自分の父親がどんな人間だったのか知りたくて山岸一族に接触してしまいます。
自分の身体の半分は悪いヤツの血が流れているとしたら、ワルをとことん見てやりたいと思ってしまいます。
20才はまだ世間知らずです。本物の悪を知りたいと、沖縄の大学を辞めて東京へ行ってしまいます。
でも山岸一族は本物のヤクザ集団。
まだミロに対する復讐心は消えていません。特にミロの義父を愛していた久恵は、ミロに殺されたと思い込んでおり、実際は心臓発作で死んだのですが、この逆恨みはすさまじく悪意が迸っています。
結局ハルオは、山岸兄がミロに復讐するために自分をおびき寄せただけと知り、「悪を知りたい」なんて大口叩いていたのに、返り討ちに遭って死の一歩手前の大怪我を負います。
意識が戻ったハルオは「俺がバカだった。大人を甘くみていた」と言います。仕方ありません。そんな年の頃は大人や世間をなめているものです。
「久恵は私だ」とミロは気付きます。
ミロもやはり自分が愛した男の死を長く隠していた義父に殺意を抱いていたし、久恵はミロの義父を愛していたし、養女のミロに嫉妬していたのです。
ラストは宿敵の久恵と対決になりますが、私は長年の恨み辛みで容貌や性格が醜くなってしまった久恵が気の毒になりました。
とにかく長いストーリーですが、こんなふうに人生の大半を人を憎んで終わらせたくないです。
私も過去に許せない人がいて、今でも「クソ-」という気持ちになります。忘れようにも忘れられないのです。あれこれ仕返しを妄想することはありますが、心に恨み辛みを抱えながら、辛抱我慢がとりえの私には無理なことと、諦めています。
あぁ、登場人物全員に平穏な暮らしが訪れてほしいものです。

著者:桐野夏生
発行:株式会社新潮社
最後まで読んでくださりありがとうございます。
応援クリックしていただけると励みになります。
にほんブログ村
#ダークネス #村野ミロ #ハルオ #桐野夏生
