私は子どもの頃、祖父母と一緒に散歩に行くのが大好きでした。よく海岸沿いを歩きました。
1960年代末の景気のいい時代の話です。ある時とてもかわいい建物が目に入りました。モーテルと看板が出ています。
なんというか屋根が赤や青の丸くてそれが連なっているような2階建ての建物で、ちいさな窓とちいさなドアがあり、おもちゃのようです。似たような建物がとなりで建設中です。
物知りの祖父は「駐車場付きのホテルだよ。アメリカにはたくさん有るんだ」と教えてくれました。我が家には車が無かったので、あーここには入れないのだなとがっかりした気分になりました。
祖父は入り口にあるカメラのレンズのようなものをのぞき込み「ほら、ここからレーザーが出ていて、これで人が来たか確認できるんだ。建物の中で監視しているんだ」と言ってます。
私は勝手に敷地内に入り込み怒られやしないかとハラハラしましたが、祖父母は平気でずんずんと中へ入って行きます。当時旅館で働いていた祖母は「わたしここで働こうかしら」なんて言ってます。
散歩のたびにモーテルの数はあっという間に増えていました。祖父母はまたしても勝手に敷地内に入り、建物や駐車している車を見学したり庭を眺めたりしていました。
しばらくは3人でモーテル巡りを楽しんでいましたが、いつしか飽きて忘れ去ってしまいました。
(この話まだ続きがあり、いずれ書きます)
#モーテル #1960年代末