映画『愚か者の身分』残酷なシーンは見ていられなかった。闇バイトも闇ビジネスも始めてしまったら逃げ出せない。どうか3人とも完璧に逃げてください。

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1室に何台も置かれた2段ベットの1つが彼らの居住空間です。
安い賃金から更に数万円中抜きされて、手元に残るお金はほんのわずか。学歴も家も無く、まだ10代のマモル(林裕太さん)はお腹が空いても我慢するしかありません。そんなマモルを見かねて菓子パンの袋を「これでも食え」と投げ渡したのがタクヤ(北村匠海さん)でした。

暴力団に属して戸籍売買の仕事を始めたタクヤの後を追い、マモルもその仕事を手伝うようになります。

まだ幼い顔をしたマモルがタクヤと一緒に新宿の歓楽街でお酒を飲み、上機嫌になっている様子に、なんだか私は泣きそうです。
家族から虐待を受け、「家でご飯を食べたことない。給食で食いだめした」というマモルにとって、タクヤは初めて心を許すことのできた存在。

タクヤは闇ビジネスに手を染めながらも、マモルに手料理を振る舞ったり、戸籍売買の被害者を気にしたりする優しい一面を持っています。得意料理は祖母に教わったというアジの煮付け。こどもの頃の幸せな思い出だったと思います。

SNSで女性を装いお金に困っている男を呼び出すと、2年で返すと嘘をついて戸籍を買い取り、にせの運転免許証を手渡します。
なるほどこういう手口で売買していたのか。知りませんでした。

大富豪の中国人夫妻が「角膜と腎臓がほしい。代金は言い値でいい。」と、登場します。

上司の策略にはまり、生きたまま両目をくりぬかれたタクヤ。
両目から血を流し、ソファに座ったまま微動だにしない姿が残酷すぎて見ていられません。

さらに腎臓を取るため山梨県の闇医者に連れていかれることになります。

その運び屋として呼び出されたのが梶谷(綾野剛さん)です。
綾野剛さんなかなか登場しないので、いつ出てくるの?と思っていました。

移動の途中、大きなスーツケースに入れられていたタクヤが意識を取り戻します。
もう死んだものと思っていたので、生命力の強さに恐れ入ります。

梶谷はタクヤを闇ビジネスに誘った兄貴的存在なので、目を潰され手足を縛られたタクヤを運ぶことに迷いが生じます。そして逃避行を選びます。
運び屋が梶谷で助かりました。もし全く知らない人に運び屋を依頼していたら、タクヤの命は無いでしょう。
ここから綾野剛さんが大活躍してくれます。

タクヤと梶谷の入浴シーンもあります。前半の残酷なシーンで気が滅入っていたので、ここでホッとします。

あぁ、梶谷が格闘技の達人で良かった。梶谷に気のいい彼女がいて良かった。

タクヤが知恵が働く者で良かった。戸籍売買の被害者を気にしていて良かった。マモルを気にしてくれてて良かった。

マモルが素直なヤツで良かった。タクシーがちょうどいいタイミングで来て本当に良かった。

今は一人淋しい顔してタクヤの残した白シャツを羽織っているけど、マモルにはどこか遠くの街まで逃げて、どうかまっとうな幸せを手に入れてほしいと切に願います。

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#愚か者の身分 #北村匠海 #林裕太 #綾野剛 #戸籍売買