英国推理作家協会賞(ダガー賞)の翻訳部門で日本作品が初めての受賞しました。
著者の王谷晶さんがテレビでインタビューを受けているのを見て、これは絶対面白そうと、さっそく読んでみると、面白くてページをめくる手が止まらなくなりました。
主人公は新道依子。22才の髪の長い女。170センチを超える長身で、腹筋がバキバキに割れ、筋肉質な身体。
祖父から忍者になるため幼い時から特訓を受けたような生い立ちです。
忍者とは一言も書かれていませんが、北海道の大地で大木に逆さづりにされ、腹筋を使ってロープをほどくという特訓は、漫画のようです。祖父からありとあらゆる実践で使える暴力の技術を仕込まれます。依子には産まれながらの暴力の才能があると見抜いていたようです。
めちゃくちゃ喧嘩が強く、暴力はもはや趣味という域に達します。
依子は新宿でヤクザ10人相手に喧嘩しているところに、大きな暴力団の内樹會若頭補佐の柳からスカウトされます。柳はいつもピカピカに磨かれた革靴の足の長い男です。悪い男ですが、心の中の奥底には虐げれれる者の悲しみを知っています。それは後から分かることですが。
依子に与えられた仕事は会長の一人娘尚子の運転手兼護衛です。
尚子は大学生ですが、生き方すべて父親に管理され、まったく自由がありません。屋敷には白シャツの男たちが何人も住み込みで働いています。
二人はこの男だらけの中で生きていかなければならなく、常に男の気配を意識しています。
ここの世界は血と暴力が溢れ、やり方は残忍で変態的でぞっとします。へまをした男の右手が手首から切断され、漆箱に入れらています。またはレイプ未遂の男のイチモツが6本箱に入れられ、お詫びのしるしとされます。
鼻が曲がり歯と血が飛び、ボールペンで頬を貫通。年単位で生かしながら切り刻む拷問。麻酔なしの整形手術。これは美しくなるためじゃなくて、その逆です。
依子と尚子はどうなってしまうのか、っていうのがあらすじです。
途中で意外な展開になるのですが、これは全く予想出来ないもので、依子は暴力を封印し生きていきます。でも、普通の人にはなりきれず、それでも生きていかなければなりません。
最後の自分を肯定する言葉に感動しました。
こんな強い女性に憧れます。この前読んだ金原ひとみさんの本「YABUNONAKA」の登場人物の女性小説家がムエタイを習うように、私も40才の時空手を習いました。力が強くなれば気持ちも強くなる気がしたのです。でも運動神経の無い私は続けられず断念。今でももっと頑張れば良かったと後悔しています。
男性並みの力を持っていたら、もっと違う自分になれたのではと考えてしまうのです。

著者:王谷晶
発行:株式会社河出書房新社
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