本『西洋の敗北』難しくてよく分からなかったのですが・・・日本も西洋なの?日本も敗北するの?

昨年秋頃から近所の書店で平積みで置かれていました。

当初全く読む気が無かったのですが、第2次トランプ政権となり、なんとなく不安感で、今年の春頃この本を買ってしまいました。

私にとっては難しい内容で、読むのに時間がかかってしまいました。

マルクスとかウェーバーとか知らないし。プロテスタントとかカトリックとか福音派とか東方教会とかも、違いがよく分かりません。二ヒリズムという言葉が何度も登場します。ネットで調べたら「虚無主義」という意味でした。

日本は世界地図の一番東側に位置するのに、西洋グループなのでしょうか?いちおうG7のメンバーだし。この本では日本を西洋に含めています。

著者のエマニュエル・トッド氏は国の特徴を3つに分類しています。

「直系家族構成」=日本、ドイツ
「共同体家族構成」=中国、ロシア
「核家族構成」=イギリス、アメリカ、フランス  

こういう分類が国民性に関係するらしいです。

それから西洋に属する国々を2つのグループに分けています。

「経済的近代の西洋」=ドイツ、日本、アメリカ、イギリス、フランス
「政治的近代の西洋」=イギリス、フランス、アメリカ 

著者は上記の言葉を駆使して、ロシアとウクライナの戦争とアメリカの関わりなど、西洋の国々の生い立ち、現状、将来のことを、述べています。このグループ分け、なるほどと思ったので書き移してみました。

西洋の危機の核心は「政治的近代の西洋」に属するイギリス、フランス、アメリカにあると書いてあります。

なんとなくそんな気がしてきました。散々帝国主義で全世界に迷惑をかけ、人種差別をして、自分達の価値観を世界に押しつけてきました。我々がこの世で一番優れていると思いっている節があります。

ヨーロッパ大陸では半永久的な平和を確立したと思っていたので、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻は信じられない出来事だったようです。

精神的ショックが大きすぎて、エマニュエル・トッド氏はしばらく独立した思考が出来なかったと書いています。

西洋はウクライナがロシアから攻撃を受けた際、ロシア制裁を決めましたが、中国、インド、イラン、サウジアラビア、アフリカ他は、ロシア制裁に加わりませんでした。

西洋グループは意外と味方がいないことに、さらにショックを受けたそうです。

でも、ロシアはウクライナより西に攻めてくる気は全然ないようなので、NATOは過剰に心配しすぎるなとトッド氏が言っています。
ウクライナの人々に気の毒ですが、ウクライナについても破綻国家でオルガルヒに支配され、汚職のレベルは常軌を逸していたと毒舌です。

逆に日本の方がやばいです。ロシア、中国、北朝鮮に囲まれています。アメリカは日本を同盟国として守らないだろうと、大方の予想通りトッド氏もそう述べています。

ここまでが序章で、このあと第1章から第11章と終章まであります。

第1章ロシアの安定
 ロシアの歴史について

第2章ウクライナの謎
 ウクライナの歴史について

第3章東欧におけるポストモダンのロシア嫌い
 西洋人は東ヨーロッパに関心がない。東欧はハンガリー以外はロシア嫌い。
 なぜかハンガリーだけは親ロシア。主義主張より国益重視の国らしいです。

第4章「西洋」とは何か?
 プロテスタンティズムは、聖書を読みすぎたことで「我こそは神に選ばれし者」という自己認識に至らせてしまったそうです。ちなみにトランプ大統領と石破首相は同じプロテスタントの福音派だそうです。

第5章自殺幇助による欧州の死
 よく分からない……

第6章「国家ゼロ」に突き進む英国-亡びよ、ブリタニア!
 かつて大英帝国は、世界規模で文明のために戦ってきました。
 今は昔。現在はアメリカに追従しとけば良いということになりました。

第7章 北欧-フェミニズムから好戦主義へ
 現実には存在しない「ロシアからの脅威」をひしひし感じる「ロシアへの恐怖」を持つ国々。近いから仕方ないです。

第8章 米国の本質-寡頭制とニヒリズム
 「あらゆる危険から離れた「離島」のような国のため、国際社会で想像しえるあらゆる間違いを犯すことができる。」だそうです。

「メリトクラシー(能力主義)が終わり、アメリカ史における民主主義は終わった。寡頭制になり、社会ピラミッドの頂点に立つ彼らは、彼らに依存する特権階級に囲まれ、残り90%の自国民がかかえる問題をまったく気にしてない。」と、あります。これが本当だとしたら、「我こそは神に選ばれし者」と本気で思っているのでしょう。
子孫に遺産を残さず、この世でご飯も食べられない人々に全部寄付しろー。

第9章 ガス抜きをして米国経済の虚飾を正す
 アメリカ自身によって進められたグローバル化が、アメリカの産業覇権を根底から覆したと書いてあります。
この前テレビで、アメリカに工場を建てた日本企業が「人が集まらない」と嘆いているのを見ました。彼らは工場で働いた経験が無いので(多分身内でも)、採用が決まっても、「こんな所で働きたくない」とマックとか似たようなサービス業に行ってしまうそうです。
トランプ大統領は製造業をアメリカに取り戻したいそうですが、人件費も高いし、そもそもアメリカ人は生産ラインで働くのは無理な気がします。

第10章 ワシントンのギャングたち
 ワシントンには悪いヤツラがいるらしいです。

第11章「その他の世界」がロシアを選んだ理由
 それまで西洋が散々世界を搾取してましたから。

終章 米国は「ウクライナの罠」にいかに嵌ったか
 難しくてよく分からない……。
  

結局のところ西洋はそう簡単に敗北はしないみたいです。

でも、世界で人口が増えているのは、非白人国ばかりです。遠い将来は敗北しているかもです。
この本の帯に「米国と欧州は自滅した。日本が強いられる「選択」は?」と書かれています。
もうトランプ大統領に関税やら投資やら強いられています。まだまだアメリカ自滅しません。

トッド氏は、「西洋の敗北」は日本が「独自の存在」として、西洋の1部としてではなく、極西洋(アメリカ、イギリス、フランス)と「その他の世界」の仲介役として自らを捉える機会になるはずだと、書いています。でも、アメリカには逆らえないので無理だと思います。

著者:エマニュエル・トッド
訳者:大野舞
発行:株式会社文藝春秋

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