母が誕生日を迎え87才になりました。
5年前に大腿骨を骨折し、家の中では手すりにつかまり歩けるのですが、家の外での移動は車椅子です。
この前、母は病院行くために弟に半休取らせたのに、忘れて福祉タクシーを予約してしまいました。福祉タクシーをキャンセルしたらと言ったのですが、せっかく予約したのに断ると逆に悪いと言い、そのまま病院に行くことにしました。
その後病院が午前休診で戻ってきたのですが、家にいた弟は私を駅まで迎えに留守にし(ほんの短時間です)、家の鍵を忘れた母は家に入れなくなってしまいました。もちろん私も弟も母が鍵を持っていないことなど知りません。
困った母は2階の窓から家に入ろうと、家の横にある物置にはしごをかけ、物置づたいに屋根に上ったのです。家に戻った弟と私は、二階の屋根にいる母親を見つけ驚愕しました。
すぐに弟が玄関の鍵を開け二階の窓から救出しましたが、いったいどこにそんな力があったのでしょう。しかも2階の窓には中から鍵がかけられていたのに。
母のそんな姿をスマホで撮った私に夫はあきれていました。
なんですぐに助けないんだって言うけど。
いいのです。たまには仕返しです。
若い時は母と折り合いが悪く、21才の時に家を出てしまいました。
でも、なんだかんだあっても私の母親ですから、内科、整形外科、眼科、皮膚科、歯医者、買い物、旅行と頼まれれば連れて行きます。
母は元々明るく社交的で冗談も面白く、友人の多い人でしたが、気がつけば沢山いた友人もいつの間にかいなくなり、自力で外出も出来ず、近所のコンビニも行けず、デイサービスのない日は家にこもりっきりになってしまいました。
弟はすぐに自室に戻ってしまい、家での話し相手は私しかいません。
その内容はほぼ人の悪口と過去の恨み辛みです。母は自分がこの家にお嫁に来た時、いかに祖父母(母からは義父母)と叔母(母からは義妹)にいじめられたか、父が自分を庇ってくれなかったか、60年以上前のことを最近のことのように話します。そしてデイサービスの利用者さんの悪口です。私に話して気分がすっきりするならと当初は黙って聞いていましたが、延々と続く悪口に疲れ果ててしまいます。
先日実家に泊まった翌日、我慢できずにとうとう言ってしまいました。
「人の悪口は聞きたくない」
母は「じゃあ何を話せばいいの」と言うのですが、私は考え込んでしまいました。
母と共通の趣味も無いし、好きなテレビも合わないし、ニュースを見れば「プーチンはー、トランプはー、金正恩はー」と、これまた悪口になってしまう。一体何を話せばいいのでしょうか?
なんとか私の方から話題をふって会話を広げなくてはと思うのですが、なにしろ共通の話題がみつからない・・・。いったいどうすればいいのか・・・。
いつも何かを探している母の姿を見るのが辛いです。
あんなに自己中心的で、私の気持ちを少しも分かろうとしない、気が強かった人が、私に「いつもごめんね」とか小さくなった背中を見せて言います。私はこれを書きながら切なくて泣いてしまうのです。
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