夜、雪がしんしんと降っています。
江戸・木挽町の芝居小屋「森田座」で、「仮名手本忠臣蔵」の千秋楽が終わり大勢の観客がわらわらと出てきます。そこに番傘を持つ赤い振袖を着た女性が通りがかり、町のゴロつきが声をかけます。いかにも悪人の顔をしています。
その声を無視して通り過ぎようとすると、なおしつこく女性にか絡み、帯に手をかけます。江戸時代は火事が多いので延焼を防ぐため、所々家と家の間が広くなっている場所があったらしいです。
その場所での出来事です。
帯がしゅるしゅるとほどけ、赤い振袖を脱ぎ捨てると、姿を現したのが白い装束の美しい若侍です。
ちょうど芝居が終わったタイミングの大勢の観客が見守る前で、美濃遠山藩士・伊納菊之助は父を殺して逃亡していた男・作兵衛(北村一輝さん)の首を見事討ち取ったのです。
「尋常に勝負!」
「父の仇、討ち取ったりー!」
若侍も返り血を顔から下まで浴び、首からしたたる血が雪を赤く染め、その一部始終はまるで舞台を見ている様でした。
それにしても北村一輝さんの悪役は何度見たことか。登場してすぐ死んでしまうなんて。北村さん贔屓の私はがっかりです。
この大事件は多くの人に目撃され、美しい若侍の仇討ちとして語られることになります。
1年半が経ち、遠山藩の元藩士・加瀬総一郎(柄本佑さん)が木挽町の森田座を訪れます。この仇討ちに腑に落ちない点がいくつかあり、それを解明したいと言います。
まだ少年の面影が残る菊之助が、どうやって江戸の森田座のたどり着き、体格のいい作兵衛に仇討ちすることが出来たのか真相を知りたいと言います。
そう言われてみれば、不思議です。作兵衛の方が圧倒的に強そうで、そう簡単に首をはねることなど無理そうです。
最初は警戒する面々も総一郎の人たらし力によって徐々に心を開いていきます。
まるで木下藤吉郎秀吉のように人の心をつかむのが上手です。
客の呼び込みをしている木戸芸者の一八
立師の相良与三郎
元女形の衣装方の芳澤ほたる
小道具方の久蔵とその妻・お与根
立作者・篠田金治
森田座に関係する者たちが語ります。
そこで分かった真実とは・・・
遠山藩の家老の悪事とは・・・
というのがあらすじです。
森田座の皆さんいい人ばかりで泣けます。
特に気になったのが、衣装方の芳澤ほたるです。
オネエ言葉で菊之助に優しく接し、仇討ちのために自分のお気に入りの赤い振袖を用意します。この俳優は誰だろうと名前を確認したら、元男闘呼組の高橋和也さんでした。
もう本当に申し訳ございません。こんな素敵な方だと存じ上げませんでした。
それから、北村一輝さんも良かったです。映画が始まってすぐ死んでしまったと思いましたが、その後も回想シーンがあり、事情が分かって良かったです。
事情を知らずに菊之助の面倒をみていた久蔵の妻お与根役のイモトアヤコさんも、良かったです。親しみやすさに好感を持っています。
それから、出番は少しでしたが、菊之助の気の強そうな母親役の沢口靖子さんも素敵でした。科捜研の女シリーズも終わったし、これからも色々な役を演じてほしいです。
爽やかな気持ちにしてくれる映画でした。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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