テレビドラマの第1話から全部観ています。ホラー風味がいい塩梅で、高橋一生さんが演じる岸部露伴の魅力もあり、毎回飽きることありません。
今回はイタリア・ヴェネツィアが舞台です。簡単にベネチアでもいいような気がしますが、映画にならってヴェネツィアと書きました。
イタリアで文化交流イベントに招待されましたが、編集者の泉京香より早めに来て取材を始めていました。
私が行きたい海外のベストスリーに入るのが、イタリア・ヴェネツィアなので、映画館でこの映画のチラシを発見した瞬間から楽しみにしていました。
ただ美しいだけじゃない、この地は死の影があるようです。戦争、処刑、拷問、ペストの流行。中世の医師達はペスト患者を診る時、鳥のお面のようなものをつけ、くちばしの部分は薬草を詰めていたそうです。
漫画家の岸部露伴は間違えて入ってしまった教会の懺悔室で、ある男の懺悔を聞いてしまいます。それはかつて浮浪者を誤って殺してしまったことでかけらえた「幸せの絶頂の時に絶望を味わう」という呪いの告白でした。
浮浪者は日本人で、その浮浪者を殺してしまった男も日本人。二人ともイタリアでお金を無くしたか盗まれてか、日本に帰れなくなってそのまま留まっているという設定です。
岸部露伴ももちろん日本人。異国の地で日本人ばかりが登場しますが、違和感なく入り込めました。
呪われた男・水尾(大東駿介さん)は次々と幸運がおとずれお金持ちになりますが、いつも幸せにならないよう努力しています。
経営する会社が特許を取得しても公開してしまったり、結婚も一番好きだった人を諦めたり、呪いの館と噂されるお屋敷に住んで家の中では傘を差していたり。
ヨーロッパでは家の中で傘を差すと不幸になると言い伝えがあります。
2番目に好きだった女性と結婚し、やがて娘・マリアが産まれます。自分の娘はかわいいに決まっているはずなのに、絶対に幸せ感じてしまうに決まっているのに、なぜ子を持ってしまったのだろうと思います。
だけどその瞬間は訪れます。幼い娘が無邪気に遊ぶ姿を見て、「幸福」を感じてしまうのです。死んだはずの浮浪者(戸次重幸さん)が現れ、こう言います。
「ポップコーンを投げて3回続けて口でキャッチできたら俺の呪いは消える。しかし失敗したら最大の絶望を受け入れろ…」
最初のクライマックスです。必死さが滑稽に見える大げさなシーンになっています。
ポップコーン投げは失敗し水尾は死にますが、その正体は全く他人の田宮という日本人で、本当の水尾は執事のふりをした男・田宮(井浦新さん)です。水尾と田宮は手術によって声と顔を交換していました。
騙されました。
呪いは人物が入れ替わったのに気付なかったのでしょうか。水尾は必死にポップコーン投げをやって、他人の為に命を捨てただけのようです。今度は水尾からも「騙された・・・」と呪われてしまう田宮(中身は水尾)です。
その呪いは偶然関わってしまった岸部露伴にも及ぶことになります。
突然オペラのチケットを貰ってしまったり、自身の漫画がイタリアでいきなり重版、フランスやその周辺でも急に重版が決まります。そしてさらに高額な宝くじが落ちているのを見つけてしまいます。
岸部露伴は宝くじを靴で踏みつけたうえにグリグリしながら、珍しく感情をあらわにして怒ります。「よくもなめられたもんだ」と。露伴は自分の漫画が自分の力以外で幸運が入り込むのが許せないのです。
成長したマリア(玉城ティナさん)は数日後に結婚式を予定していましたが、田宮(中身は水尾)は娘が幸せになると絶望がやってくると結婚式の邪魔をします。
私が父親なら娘の幸せのためなら絶望を受け入れてもいいと考えますが、そんなふうには考えないようです。マリアは露伴の協力を得て、呪いに打ち勝とうをしますが、はたして、というストーリーです。
ヴェネツィアで何人もの日本人(マリアはミックスなので日本語ペラペラ)が知り合うのだから、「偶然」を使わないと出会えません。仕方ないでしょう。
やっぱり有名な観光名所であるヴェネツィアの町並みは美しく、実際にこの目で見てみたくなります。この映画のヴェネツィアは、石、石、石、運河、運河という印象です。
娘のマリアの仕事は仮面職人です。工房は壁一面に仮面が飾られています。なんだか人の形って怖い気がするのですが、例えば壁一面に市松人形が飾られていたら怖いと思いますが、マリアは怖くないのでしょうか。
私だったら怖いです。緊張状態が続く中で、担当の編集者・泉京香(飯豊まりえさん)が現れると場が和やかになります。
一足早くヴェネツィアに来ていた露伴に、「露伴せんせーい!」と手を大きく振りながら、運河からボートで登場するシーンに「待ってました!」と心の中で叫びました。
やっぱりバディは京香さんです。
映像も美しいですが、始まりからエンディングまで音楽も美しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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